離婚後の生活を守る。何より子の利益のために。

2023年の特殊離婚率(年間の離婚数÷婚姻数)は、約
39%ということです。1990年は約22%でしたから
増加傾向であることは間違いないでしょう。
離婚原因のトップは「性格の不一致」となっています。
性格の合わない相手と、離婚について冷静に話し合い、条件などで合意を図るのはなかなか困難です。
しかし、離婚後の取り決めをせずに離婚をすると、生活に支障をきたすこともありますし、後日トラブルが発生するリスクが大きくなります。
なにより、夫婦は離婚により他人になりますが、子に対して父であり母であることは変わりません。子が自分で生活できるようになるまで、親として支えるために責任を果たさなければなりません。
当事者で解決ができない場合は、専門家などの第三者を入れてしっかりと話し、合意形成を目指してください。
【離婚は簡単】
離婚届を市役所に提出すれば、離婚は成立します。
離婚届には、未成年の子の親権についての記入は有りますが、その他の離婚条件に付いては記入欄がありません。
慰謝料、財産分与、養育費、面会交流、年金分割などは、離婚届けを出す前に当事者で取り決めることが必要です。離婚した後に話し合いをするのは法的には問題ありませんが、あまりお勧めできません。
【離婚条件は明確に】
関係の悪くなった当事者が、金銭的なこと等離婚の条件を話し合いで決めるのは大変なことです。そのため、財産分与も養育費も何もない離婚をしている方もたくさんいます。
離婚後の生活を守り、子の自立まで親としての責任を果たすためにも、離婚条件は明確にしなければなりません。
【公正証書離婚協議書】
離婚協議書は、当事者2人の合意文書ですので公正証書でなくても有効です。しかし、例えば養育費の取り決めがあり、その支払いが滞った場合に、公正証書であれば給与の差押えができます。私書で離婚協議書を作成している場合には、差押えのために別途裁判手続きが必要となります。
弊所で受任する離婚協議業務は、公正証書離婚協議書の作成サポートです。
①当事者双方の意思確認
離婚するにあたり、話し合いで条件を決める意思があることを確認
②離婚に関係する法制度などを説明します。
説明は、当事者同席,おひとりづつ,リモートなど、ご希望に応じます。
③制度を理解していただいた上で、双方の意見を伺い協議書の案を作成します。
協議は、あくまで当事者が主体となって進めます。当職は、合意形成のために情報の提供などをします。
④合意ができましたら、公正証書の文案を作成します。
⑤公証役場と連絡を取り、公正証書作成の調整を図ります。
⑥指定期日に当事者が公証役場に出向き、公正証書離婚協議書を作成します。
※当事者で離婚条件の隔たりが大きく、合意形成が難しい場合は弊所で受任できません。
相手方の主張を承服し難く、自分の主張を認めさせたい場合は、弁護士に代理交渉をご依頼ください。
【令和8年に制度が大きく変わります】
以下に概略を説明していますが、離婚に関係する法律等が大きく改正されます。個別事情により、離婚の時期を検討した方が良い場合もあるかと思います。
気になる方は、ご相談をお受けしますのでお声かけください。(8,000円/時間)
令和8年。離婚制度が大きく変わる。
家族法制に関する民法の改正が、令和6年5月17日に可決成立し、2年以内に施行されることとなりました。
令和8年5月までには施行されるということです。
【主な改正点】
1.親子関係
①父母の責務等の明確化
②親権の性質の明確化
2.親権、監護権
①新権行使に関する規律整備
②離婚後の親権(共同親権制度の導入)
③子の監護に関する事項の定め方
3.養育費
①先取特権の付与
②法定養育費制度創設
③裁判手続きにおける父母の収入資産状況の情報開示義務
④養育費等の執行手続きのワンストップ化
4.親子交流
①父母の別居中(離婚前)の親子交流
②裁判手続きにおける親子交流の試行的実施
③親以外の第三者(祖父母等)と子の交流
5.養子
①親権者の明確化
②未成年養子縁組及びその離縁の代諾
6.財産分与
①期間制限延長(2年➢5年)
②考慮要素の明確化
③裁判手続きにおける当事者の財産状況の情報開示義務
7.その他
①夫婦間の契約の取消権を定めた規定の削除(民法754条)
②離婚事由(配偶者の強度の精神病)の削除(民法770条1項4号)
以上のように、変更は多岐に渡ります。
離婚の協議の時点で、特に重要な事項としては、
①親権をどうするか?
現状は、父母のどちらかが単独で親権を持つことになっていますが、
改正後は、単独親権とするか、共同親権とするかを決めなければなりません。
共同親権は、新しい制度ですから、どのように運用するのかを慎重に決定しなければなりません。離婚
して他人となった二人が、子の父母として協働して親権を行使するのです。
②養育費
離婚した後でも、子の父,母であることは変わりません。親権が無くても親として、子の養育に責任があり
養育費を支払う義務があります。今回の改正では、養育費を決めずに離婚した場合でも、子の監護費用の
分担として「法定養育費」を請求できることとなりました。
現時点(R7.5.28)では、法定養育費の金額は決まっていませんが、法務省令で定められることになって
います。