こんにちは、「相続コンサルタントしゅくわ事務所」代表の宿輪です。
弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。
少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「相続ワンポイント」では、皆さんに知っていただきたい相続の知識をランダムに解説しています。100を超えるタイトルがありますので、ぜひお役に立ててください。
弊所では、民事信託(家族信託)も積極的に取り扱っています。遺言などこれまでの民法では解決できなかった問題がクリアにできます。☞に小冊子ダウンロード版を用意していますのでご利用ください。
弊所の活動内容を、スライドを使って説明してみました。☞のユーチューブ動画も見ていただけると嬉しいです。
では、ワンポイントをどうぞ!
相続手続きの期限
人が亡くなると、家族にはやるべきことが山ほどあります。死亡に伴う役場関係への手続き等は葬儀社などが支持してくれるので何とか済ませることができますが、教えてもらえないものもたくさんあります。
ほとんどは、なにがしかの問題やお知らせが来た後でできますが、期限過ぎるとできないものや、罰則があるものもあります。
特に注意すべき期限にはどのようなものがあるのでしょうか。
【3か月】
相続をするかしないかの決定をする。
相続をしない=相続放棄
プラス財産を超えるマイナス財産は相続しない=限定承認
全部相続する=単純承認
相続の判断は、上記3種類となります。
そして、3ヶ月何もしないと「単純承認」したものとなります。
単純承認すると、借金などのマイナス財産も含め亡くなった方の財産を相続することになります。
特に、マイナス財産については遺産分割協議にかかわらず、債務者は法定相続分の債権を相続人に請求できます。
遺産分割協議で相続する財産が無い人も、マイナス財産の支払い義務は生じるということです。
3ヶ月というのは、相続後の忙しい中では本当に短い期間です。
相続の意思を決めるためには、亡くなった方の財産や債務の状況を知る必要がありますので、財産調査を急ぐ必要があります。
「亡くなったばかりですぐ財産調査?」と遠慮していると、借金の支払い義務を被る場合もあります。
相続放棄は、相続人が個別に家庭裁判所に対してできますが、限定承認は相続人全員が共同して家庭裁判所にすることになります。
【4か月】
準確定申告
通常所得税の確定申告は、年末で絞めて翌年の2月16日~3月15日に行いますが、亡くなった方の申告は、4か月以内に行うことになっています。尚、普通のサラリーマンの場合は勤め先がやってくれますので、20万を超える雑所得がない場合には相続人は手続き不要です。
準確定申告は、相続人全員の連名でする必要があります。書類作成方法は、税務署で手引書を配布しています。
【10か月】
相続税の申告及び納付
相続税の申告と納付期限は10か月です。
相続税には、基礎控除があります。
相続税控除額=3,000万円+500万円×法定相続人の人数
相続人が配偶者と子2人の場合は、4,800万円となります。
相続財産の合計が、この額に満たない場合は相続税は発生しません。
相続税が発生しない場合は、相続税関係の手続きはありません。
基礎控除額を超えるが、特例を利用して相続税が0になる場合は税務署への申告は必要です。
相続税の申告は、提出書類も多く大変ですので相続に強い税理士さんに依頼した方が安心です。
税理士さんの最大業務は、企業の税務ですので個人の相続はマイナー業務となります。依頼する場合は、相続に力を入れている税理士を探すようにしましょう。
【1年】
遺留分減殺請求
遺言などで、遺留分が侵害されたときの減殺請求(遺留分の取戻請求)は、その侵害の事実を知ったときから1年、相続開始から10年で時効になります。
遺留分は、請求すれば必ず取得できる相続の取り分です。配偶者・子の場合は法定相続分の1/2となっています。
例)法定相続分が1,000万円の子の遺留分は500万円
遺留分の減殺請求は、法定相続分を超えて相続財産を取得した者に対して行い、請求をすることで当然に権利が発生することになります。
遺留分減殺請求は、請求して初めて発生する権利ですので、遺留分を侵害されている遺言があっても、請求しないことも自由です。
*侵害の事実を知ったとき=留分が侵害されている遺言の内容を知ったときです。遺言を確認できない場合は、相続から10年となります。遺留分は、争族になりやすい問題ですので、遺言は法定相続人全員がすぐに確認するようにしましょう。