それでも相続放棄しますか?
相続財産が、借金などが多い場合、相続発生したことを知った日から3か月以内であれば「相続放棄ができます。
相続放棄の申し立ては、被相続人の住所地の家庭裁判所にします。申し立てが受理されると、一切の遺産を取得しません。借金も相続しませんが、預貯金なども相続できません。
近年、相続放棄の件数が急増しています。(2004年:約10万8000件 2024年:約30万9000件)
高齢化が進み、死亡者数も20年で約1.5倍に増加していますが、相続放棄する人の割合の伸びが顕著です。
【親族関係に影響】
相続放棄をした場合、その人の相続分は他の相続人に引き継がれます。
例えば、子が相続した場合、相続した子の兄弟に引き継がれます。
そして、兄弟全員が放棄してしまうと、次順位の相続人が引き継ぎます。
子の次第2順位の相続人は直系尊属(親・祖父母)ですが、尊属は先に亡くなっている場合が多いので、大半はさらに次第3順位の相続人である被相続人の兄弟(代襲で甥・姪まで)が相続人となります。
この時点で、被相続人の兄弟や甥・姪などに迷惑をかけることになります。嬉しくない遺産を押し付ける形です。子が相続放棄する場合は、おじさんおばさんや従弟にも放棄すること及び遺産の内容を伝え、相続放棄の説明をしておかなければトラブルになります。
相続順位は第3順位までですので、配偶者がいない若しくは相続放棄した場合で、上記の様に第3順位の相続人まで全員が相続放棄をすると、法定相続人が不在となります。
【放棄しても管理責任が残る場合もあり】
上記の様に、相続人全員が放棄してしまった場合、最終的には国庫帰属となるのですが、勝手に手続きが進む訳ではありません。誰かが裁判上の手続きを経て国庫帰属まで完了させる必要があります。
“相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。相続放棄をして財産を占有している者は、引き渡すまでは、保存行為をしなければならない。”(民法940条)
財産を現に占有している者というのは、管理している者に近い意味です。亡くなった親などの預金通帳を預かっていたり、空き家となった実家の草刈りなどをしていた者などが該当するようです。このような人は、相続放棄してもその遺産を管理する相続人が現れるまで財産保存の管理をしなければなりません。相続人全員が放棄してしまったときには、相続財産清算人に引き渡す手続きをしなければなりません。
【相続財産清算人の指定】
相続人の存在,不存在が明らかでないときに、家庭裁判所は、申し立てにより相続財産の清算人を選任します。
相続財産清算人が決まらないと困るのは、相続財産を現に占有していた相続人ですから、家庭裁判所に申し立てをして選任をしてもらいます。この申し立てには、多くの書類(戸籍等)を収集して添付するとともに、お金もかかります。
申立費用:収入印紙800円 連絡用郵便切手 官報広告料 予納金
申立て手続きを専門家(司法書士,弁護士)に依頼すると、その報酬も必要です。
重要なのは、予納金です。
相続財産清算人の業務は、裁判上の手続きを含むため司法書士,又は弁護士が選定されます。
当然、報酬が発生します。この報酬は、相続財産で支払うのが原則ですが、相続財産で賄えない可能性がある場合に備え予納金が必要になります。
相続財産で報酬に足りない場合や、相続財産の清算が困難な場合などは予納金が100万円程度になります。
清算が終わったとき、相続財産で報酬支払ができれば予納金は戻されますが、相続財産で支払えない場合、予納金から報酬が支払われ、申立人の予納金が返金されなくなります。
【相続人に放棄させるような残し方はNG】
財産は所有者が全権を持ちます。
そして所有者が亡くなると、相続されます。
遺産の承継をどうするかは、所有者が責任をもって決めておくべきではないかと思います。
遺産の分割や放棄で揉めることの無いよう、しっかりと考えて準備をしておきましょう。
それにより、財産は活かされます。空き家の発生も予防出来て、住みやすい街の維持に役立ちます。








